
※この記事は『ぼくらの』全11巻のネタバレを含みます。
お疲れ様です。秘書です。
鬱漫画としてよく名前が挙がる『ぼくらの』。
まず先にざっくりとした感想を言ってしまうと、かなり面白かったです。
自分に刺さったところ、気になったところを書いていきます。
もはやかなり前の作品ということもあり、どんな漫画なのかはちょっとだけ知っていました。
子どもたちがロボットに乗って戦い、次々と死んでいく漫画。
自分は鬱漫画も結構好きで、そういう作品を探していると大体名前が挙がる作品。
鬱漫画が好きってなんか趣味悪そうに思われるかもだけど、要はなにかしら心に来るものが好き。
それが正であろうと負であろうと。
少年漫画の激アツ展開も好きだし、死について考えさせられるような漫画も好きというだけ。
なので『ぼくらの』もいつか読もうと思っていて、今回久しぶりに漫画を読むタイミングで手を出してみました。
結果から言えば、普通に面白かったです。
11巻だったこともあって、一気に最後まで読んでしまいました。
ただ、面白かったけど、星をつけるなら★3です。
僕にとって★3は普通に楽しめて、最後まで読むことができた作品。
★4でもいいくらい作品としては楽しんだのですが、最後までどうしても拭えなかった違和感がありました。
それが、
「いや、この子たち中学1年生なんだよな?」
というところ。
どうしてもこれが付きまとう。
勝っても死ぬ。負けても全員死ぬ
物語は、15人の少年少女たちが謎の男・ココペリと契約し、巨大ロボット「ジアース」に乗って敵と戦うところから始まります。
最初はよくある巨大ロボットものに見えます。
ちょっとエヴァみもあるなぁというのが最初の感想。
ところが、この作品の大きな設定として、戦闘に勝った操縦者は死ぬ、ということがわかる。
ジアースの動力源が、操縦者自身の命だからです。
しかも戦闘に負ければ、彼らの地球そのものが消滅します。
戦わないという選択肢もありません。
さらに話が進むと、戦っている相手も怪物や宇宙人ではなく、自分たちとは別の並行世界に存在する「地球」であることがわかります。
つまり、自分たちの地球を残すために、別の地球を滅ぼしているわけです。
戦いに勝つと、別軸の地球人100億が死ぬ。
パラレルワールドに関しては少々「ん?」と思ったけど、全体の設定はおもしろいと思った。
理不尽なルールをひとつ置いて、その中で人間が何を考え、どう行動するのかを見る。
こういう話はかなり好みです。
『ぼくらの』は「死にざま」の漫画でもある
基本的には、次に操縦することになる子どもの家庭環境や人間関係が描かれ、その後に戦闘が行われます。
死ぬことが決まってから、自分に残された時間をどう使うのか。
家族とどう過ごすのか。
誰に何を残すのか。
何を諦め、何を選ぶのか。
そういう意味では、『ぼくらの』はロボット漫画というより「死にざま」を描く漫画でもあったと思います。
ダイチの叔父さんや半井の母親、軍関係者たちなど、子どもたちだけにすべてを背負わせようとしない大人がいたのもよかったです。
特にカンジの戦闘で、関さんを含む大人たちが自らマーカーになる場面は印象に残っています。
「どうせ負ければ全員死ぬ」という状況ではあります。
それでも、子どもだけを送り出して終わりではない大人がちゃんといます。
千鶴の教師のような最低な大人もいれば、責任を背負おうとする大人もいます。
その両方が描かれていました。
ただし、中学生にしてはみんな出来すぎている
ここが最後まで引っかかりました。
彼らは中学1年生。
12歳か13歳くらいです。
なのに、みんな自分の人生や家族、社会、自分自身についてあまりにも冷静に分析できます。
それでも、キリエや千鶴あたりを読んでいると、
「いや、中学生がここまで自分を客観視するか?」
と思ってしまいました。
カナに至っては小学4年生です。
精神的に成熟しすぎていて、どうしても年齢と発言が一致しません。
もっと泣いたり、喚いたり、逃げたり、親に当たったり、理不尽さに怒ったりしてもいいのかなとも思った。
思春期なのだから、もっと聞き分けが悪くてもよかったと思います。
コダマやカコ、千鶴あたりにはそういう危うさもありましたが、作品全体を見ると「物分かりのいい子」が多すぎました。
もし彼らが大学生くらいだったら、個人的にはまだ納得できた気がします。
まだ若く、青さと大人になっていく、大人にならなきゃという葛藤もあると思う。
将来や恋愛、家族、自分の生き方について深く考えていても不自然ではありません。
そのぐらいの年齢だと飲み込めたのかなと。
『ぼくらの』で描きたかった家族関係を考えると、中学生という年齢にも意味はあるのだろうと思います。
それでも、最後までここだけは引っかかってしまいました。
思わせぶりな台詞にも少しモヤモヤした
もうひとつ気になったのが、伏線の張り方です。
伏線やミスリード自体が嫌いなわけではありません。
ただ、
「アイツの正体」
「マチに気をつけろ」
のように、かなり直接的に怪しい言葉を出しておいて、読者に「こいつ絶対何かあるだろ」と思わせます。
結果的に子供たちの中には裏切り者とまで呼べる人物はおらず、ただノイズで終わった気がします。
こういうタイプのミスリードはあまり好きではありません。
謎を提示するなら、その煽り方に見合った回収が欲しいというのが個人的な思い。
特に半井がダイチに謝っていた件など、読んでいる最中は何かあると思っていましたが、明確な答えは描かれませんでした。
「意味深なことを言わせて読者を引っ張る」こと自体が先に見えると、少し冷めてしまいます。
「鬱漫画」と言われるほど鬱ではなかった
全員死んでいきます。
設定だけ見ればかなり救いがありません。
それでも、個人的には読後にそこまで「鬱漫画だった」とは感じませんでした。
死ぬこと自体は理不尽ですが、彼らには戦闘まで少しだけ時間があります。
その間に、それぞれが家族や友人と向き合い、自分なりに考えたうえで戦います。
死は避けられません。
でも、ただ何もできずに理不尽に殺されるだけではありません。
どう生きて、どう死ぬかを選ぶ余地がわずかに残されています。
そのためなのか、全員死んだわりには不思議と重苦しい読後感は残りませんでした。
最終評価は★3
「めちゃくちゃ心に残った作品か?」と聞かれると、そこまでではありません。
それでも続きが気になり、11巻を一気に読めるだけの面白さはありました。
設定は好きです。
テーマも好きです。
「死ぬことが決められた人間が、その日までどう生きるのか」という話も好きです。
鬱漫画と聞いて『おやすみプンプン』を想像して読んだら、『スカイ・ハイ』とか『イキガミ』に似た読感。
大人たちの描き方や、家族との関係にも好きな場面がありました。
だから★4にするか少し迷いました。
それでも、作品の中心にいる子どもたちの年齢設定に対する違和感が最後まで消えませんでした。
ほんとこれ。
細かい設定のひとつなら気になりません。
でもほぼ全編を通して、
「この考え方をしているの、中学1年生(と小4)なんだよな」
と思ってしまいました。
この世界では自己の形成が早いんだ、とこちらが補完しないと納得できない感じ。
作品としては面白かったです。
ただ、自分が物語に完全に入り込むには、その一点が大きすぎました。
ということで、
★★★☆☆
久しぶりに漫画を読んだら、まさか11巻一気に読むことになるとは思いませんでした。
だから仕事が忙しい今、長編漫画はなるべく読まないようにしています。
こうなっちゃうから。
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